NEWS

諦めない看護

諦めない看護

諦めない看護

笑顔が大好きなプライマリー患者さんがいた。
小腸ストマの患者さんで「食べることが生きがいだから」と言っていた。

ある日ストマが陥没してしまい、ストマパックがうまく貼付できなくなった。貼り変えても30分と経たずにパックの端から便が漏れてしまう。見るからに痛々しい爛れた皮膚、苦痛で顔を歪める表情。きっと痛くて辛いのは患者さん自身だろうに「何度も変えさせて申し訳ないね」と言っていた。何も出来ない悔しさに私も泣きそうになりながら、ストマパックを貼り変えていた。病棟全体がストマパックを漏れなく貼付することを諦めかけた頃、皮膚排泄ケア認定看護師から、貼り続けることが大事!とアドバイスを頂いた。少しでも良くなりますようにと願いながら、ストマパックを貼付することに挑戦し続けた。
何度もカンファレンスを重ね、生きがいを奪いたくない!と続けていた食事を、皮膚状態の改善を優先するため本人に説明し一旦中止する選択に至った。患者さんからは「しょうがないね」という発言と苦笑いがあった。生きがいである食べることを失った悲しみははかりしれない。
ストマパックから便が漏れては貼る事を繰り返し続けた結果、漏れることなく貼付できるようになったとき、本人そして病棟全体で喜びを分かち合った。

またゼリーを食べられるようになってから亡くなってしまうまでの時間は短かったが、「またご飯が食べられるね」と笑う眩しい笑顔は今でも忘れられない。エンゼルケアを実施した際に居合わせた先輩看護師に凄く皮膚状態が良くなったねと言われた。あの時行った一つ一つの選択が正しかったのかは今でも分からない。でもチームや病棟全体・緩和ケア認定看護師・皮膚排泄ケア認定看護師・そして患者さん、全員の頑張りが無かったら食事の再開や皮膚状態の改善にまで至らなかったかもしれない。まさに「諦めない看護」そう感じた。自分が看護師として良い関わりができたと言える出来事だ。そして今でも深く印象に残っている大好きな患者さんの一人。患者さんに寄り添い諦めない看護をすること。この気持ちをこれからも大事に心の中に持ち続けていきたい。

 

わたしたちと
一緒に働きませんか?