その人らしく過ごすためのリハビリ

その人らしく過ごすためのリハビリ
私は現在回復期リハビリテーション病棟にいる。患者様は毎日リハビリを頑張っており活気あふれる病棟だ。その中で車椅子に座っていても立ち上がってしまったり、自走して他の病棟に行ってしまったりする患者様は多くいる。何十人もの患者様をみている私たちにとって、このような患者様は、「落ち着いて座っていてほしい」と思ってしまいがちだ。
車椅子で病棟内を自走したり、他の患者様に怒ってしまったりすることが多い患者様がいた。この方にとって集中できることはないか探していたある日、いつも使っているジャージが食べこぼしで汚れてしまった。その患者様はたびたび仕事の話をしてくれることがあった。もしかしたら仕事好きだったのかもしれない。そこで濡れタオルで汚れを拭いてもらうことにした。もくもくと真剣に拭く患者様。ジャージは綺麗に、患者様の表情は穏やかになっていた。
認知機能が低下しており、毎日不穏になる元コックさんの患者様。この日も車椅子から立ち上がったり歩きだしたり、ふらつきが著明だったときは転倒リスクが非常に高かった。この方にはフロアのテーブルや廊下の手すりを拭いてもらうことにした。隅から隅までとても丁寧に拭く患者様。几帳面な性格もあるが、こんな風にお店の中を綺麗にしていたのかもしれない。
回復期リハ看護に必要なことの1つに廃用予防があり、活動と役割をもって離床してもらうことが大切ということを学んだ。「離床してほしいけど転倒リスクは避けたい」そのような悩みを抱えて日々業務しているが、離床と患者様に合わせた活動をすることで、その人らしく過ごすことに繋がるのではないかと思った。仕事が忙しく、もっとゆっくり患者様と関わりたくても難しいことが多いが、患者様の活動を妨げず一緒に楽しみ、身体機能向上に繋げられるような看護、患者様一人ひとりの背景や性格、生き様によりそった看護を考えられるようになりたい。