きらり看護
きらり看護
私が看護師として経験した中で、特に印象に残っている看護体験はある看取り方針となった患者で、その患者の家族や親戚の方々は毎日時間を作って面会に訪れていた。医師からは病状が末期であることは説明されていたものの、家族はどこかで再び元気になることを信じており、面会時には談笑する姿も見られ、病室は比較的明るい雰囲気であった。しかし、日に日に患者の全身状態は衰弱し、浮腫の増強や呼吸状態の悪化が目立つようになった。それに伴い、家族も次第に回復が難しい現実を悟ったのか、面会中の会話は減り、悲しみに沈んだ表情を見せるようになっていった。その患者は、私にとって看護師1年目に受け持った症例でもあり、強く心に残っている患者であった。そこで私は、当時作成した看護レポートを家族に渡し、患者様との関わりや印象に残っているエピソードを話した。すると家族は、元気だった頃の患者の様子やこれまでの生活を思い出すことができたようで、再び思い出話に花を咲かせる姿が見られた。最期の時間には、涙を流しながらも笑顔で患者を見送り、最後には私にも「このレポートはうちの親父が生きていた証だから大切に取っておくね」と言ってくださり、温かい雰囲気の中で看取ることができたように感じた。
この経験から、終末期にある患者への看護では、身体状態の観察や医療的処置だけでなく、患者や家族の思いに寄り添う関わりが重要であると学んだ。患者を取り巻く家族の悲嘆を理解し、少しでも心の負担を軽減できるような個別性のある看護を提供することが、終末期看護において大切であると実感した。この学びを今後の看護実践に活かし、患者とその家族にとって後悔の少ない時間を支えられる看護師でありたいと考えている。
