生きがいは亀のピーちゃん
生きがいは亀のピーちゃん
1年目の冬、受け持ったのはぬいぐるみを抱きしめ、「ピーちゃんに会いたい」とペットの亀を思いだし泣いている方。知的障害があり精神年齢7歳レベルと診断された50歳代の透析導入予定だった。どう関わればいいんだろう、しかも手術もするじゃん…と不安に思っていた。
入所していた施設や医師からは、今までA氏に気持ちを聞いたことが無く透析を導入するのは、A氏の心理的にも心配、シャント管理を出来ないのではないかと否定的であった。私は、本人の気持ちを聞いたことがないのに決めつけるのは良くないのではないかと思い、A氏に将来どうしたいか問うと、「ピーちゃんと長生きしたい、治してピーちゃんと元気に遊ぶんだ」と話していた。すぐに施設の方とカンファレンスを行い、長生きしたいと話していたことをお伝えし、造設する方向性へと変わった。
A氏は手術や病状の理解は難しく、指導をどうしたらよいか悩んでいたところ、先輩から「ちゃんとナースコール押せるし、言えば、最低限のことは守れるじゃん」とアドバイスをいただいた。A氏は入院中、点滴管理や転棟予防が出来ていたのだ。
簡単な言葉での指導を毎日続けることで覚えることができると考え、パンフレットや〇×クイズで指導を繰り返し行った。
手術日が近づいてくると1日中泣いていることもあり、スタッフも手術を無事終えることができるのかとても心配だったが、シャント造設後は、「私のシャント、大事大事。」と左腕を撫で、笑っていた。
「ピーちゃんにはいつ会える?はやく退院したい」と入院生活が長引いていることへの不安が効かれることも多かったが、病状が安定しA氏は手を振り笑顔で退院された。
どこまで理解できるのか、透析をすることでA氏の幸せを奪ってしまう事がないかと不安になることがあったが、話し合いを何度も重ねA氏の気持ち・施設・倫理観など多くの視点から考えることで本人らしく生きるための支援ができたと感じた。
